革の豆知識~『鞣しとは?』

「皮を鞣す」また「鞣し皮」の「鞣す(なめす)」とは、どんな意味なのでしょうか。
動物の皮は、柔軟性に富み非常に丈夫ですがそのまま使用するとすぐに腐敗したり、乾燥すると板のように硬くなり柔軟性がなくなります。この大きな欠点を樹液や種々の薬品を使ってこの欠点を取り除く方法が「鞣し」と言います。鞣していない状態を「皮」と呼び、鞣したものを「革」と呼び区別しています。

 

革の製造工程は、準備工程、鞣し工程、再鞣し・染色・加脂工程、仕上げ工程に分けられます。その中で鞣しの工程は鞣剤でコラーゲン繊維からなる皮組織を固定、安定化し、革としての基本的性質を付与する作業といえます。その工程の違いによって革を分類する方法が鞣しによる代表的なものにクロム鞣し、植物タンニン鞣し、特殊なものとしては油鞣し革などがあります。

 

「鞣す」ための「鞣し剤」には、革の用途に合わせて様々な種類が使われていますが主流は、植物タンニン鞣し、クロム鞣し、混合鞣しです。


革の豆知識~『革素材』

UKブライドルレザー

(J&E SEDGWICK社製 J Baker製など*イギリス)

牛皮革をナチュラルタンニンで鞣し、その後蜜蝋を十分に染み込ませていきます。元々は馬具用の革として強い耐久性を求められた素材です。未使用の段階ではブルームといった蝋が革の表面に浮き出た状態になっています。使用するごとに蝋が染み込んでいき美しい艶が現れます。

ブッテーロ

(Walpier社製*イタリア)

牛革の中でも平均的に厚めの成牛の肩(ショルダー)を使用している為、『トラ』と呼ばれる首のしわや血筋が見られるのが特徴です。繊維密度が高く丈夫な部位です。その素材を植物タンニンで鞣し染料による染色を行い、最後に自然の風合いを活かした仕上げを施します。イタリアらしい発色は使うごとに深みを増していきます。

サドルプルアップレザー/ミラージュ

(G.B Leather社製*イタリア)

イタリア製の高級牛革素材で、ダブルバッツという牛のお尻の部分のみの革を使用し、カゼインというたんぱく質を主原料にワックスやオイル等を加えた、カゼイン仕上げという、主に高級革にのみ使用される仕上げ法で加工された革のことです。ミラージュレザーは折り曲げたりしますと、そこから色が変わることも特徴のひとつで、使用する人によって様々な経年変化を味わうことが出来ます。

ミネルバリスシオ

(Badalassi Carlo社製*イタリア)

イタリア古来の伝統的な技術である『バケッタ製法』を先代が甦らせたことで有名な名タンナーです。植物タンニンで鞣された革に純度の高い『牛脚脂』で時間をかけながらじっくり加脂していきます。手間のかかる作業ですがオイルが抜けにくく、使用することによって美しい色艶を魅せてくれます。

栃木レザー/ワイルド

(栃木レザー社製*日本)

厚手のアメリカ産原皮をミモザ等から抽出されるタンニンで何十もの工程を経て鞣されるメイドインジャパンの高級素材です。仕上げの際にグレイジング加工(磨き)を施しているため汚れを吸いにくく非常に扱いやすい素材になります。その為エイジングも色艶が美しい表情を楽しんで頂けます。


革の豆知識~『コバの仕上げ』

●コバ磨き

手法は様々ですが、時間を費やす作業になります。一般的にはヤスリ等を使いコバを削りだし下地を綺麗に整え塗料で着色した後、ランプで熱したコテ等で蜜蝋を溶かしながらコバに染み込ませ磨いていきます。この工程を何度も繰り返すことで1枚革のような仕上がりになっていきます。昨今ではグラインダー等の専用の機械で処理をすることもあります。

 

利点:張り合わせた2枚の素材を縫い上げその後時間をかけじっくりと磨いていくため高い強度を誇ります。経年変化による劣化の際も革が破れにくくなっています。またそのワイルドな表情がレザーフリークの皆様に熱く支持されています。

欠点:構造上ヘリ返しの製品に比べ厚みが出てしまいます。また手間のかかる作業ですので職人によって処理の差があるのも事実です。

●ヘリ返し

この方法は革の断面を仕上げるというよりは、革の断面を包み込む手法になります。コバから繊維が開いてくることを防ぎ、また手触りを良くする目的があります。2枚の革のうち1枚をやや大きく漉き、折り返していきます。角の部分の処理である『菊折り』など高い技術も必要な作業になります。

 

 

 

利点:薄く漉いた革を折り返していくため仕上がりがスマートで、ビジネスシーンにも適した薄く軽いお財布に適しています。

欠点:長年の使用によりヘリ返した部分が消耗し破れる可能性が高く、革が切れてしまった場合の修復にはコストと手間がかかってしまいます。